ふたりの今西
前回の続きです。
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頼が辛いときは入れ替わり・・・
・・・つづく
今西くんの過去
今西くんは自分の過去の話をポツポツとし始めた。
アヤはなんとなく、遼が「おじいちゃんと二人暮らしであること」、
「両親とも事故でなくしたこと」くらいしか知らなかった。
そこに双子の兄がいたなんて・・・。
今西くんの兄、今西 頼(いまにしらい)は母方の伯父に
ひきとられた。もともとは遼、頼ともに父方の祖父(祖母はすでに他界)
にひきとられる予定であったが、祖父が一人暮らしであること、
年齢や経済的な理由などの横やりが入り、母方の伯父が頼をなかば強引に
ひきとった。
遼が言うように、伯父は事業が傾いており、資金繰りに苦労していて、
頼の保護者として頼の相続した保険金の管理を狙っていたのだった。
伯父にとっては、頼はお金以外は邪魔な存在でしかないので、
ことあるごとに辛くあたっていた。遼も頼のそんな状態を聞くたびに
心を痛めていた。
なんとか、耐えていた頼も、時に心折れそうになることがあり
かといって伯父の家を出ることもかなわず、苦しんでいた。
そんな時、双子の兄弟である遼が1~2日でも変わり身となることで、
なんとかその苦しさを緩和していた。
入れ替わりをしても伯父一家に気づかれることはなかった。
祖父は気づいていたようだったが、知らないふりをしてくれていたらしい。
高校生になった頼は、伯父の家をでて、寮に入った。
これで伯父一家からようやく離れることができた。
それから、頼はちょくちょく、学校が休みの時には遼が暮らす
祖父の家に遊びにきたり、泊りに来たりするようになった。
遼も、頼がくること、兄弟で一緒に過ごせることは嬉しかった。
遼と頼は、学校でのこと、バイトのこと、恋愛のことなんでも話したり
相談したりした。お互いにどんな生活をしているのか、どんな友達がいるのか
など詳しく知っていた。が、中学生の時以来、入れ替わることはなかった。
しかし、アヤと遼とのデートの前の日に、ある出来事が起こった。
遼は、思い返しても「ああ・・・」と苦しくなる出来事・・・。それは・・・
・・・次回につづく。
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